2024年1月12日
沖縄本島で個体減少が危惧されているクマノミについて学ぶ「瀬良垣島・クマノミ育成プロジェクト」。クマノミを知ることで地球温暖化・海洋酸性化の深刻な状況を認識し、沖縄の海を後世に残すために知ることから始めましょう。
近年世界的に個体数が減少しているといわれるクマノミ。石垣島(いしがきじま)や宮古島(みやこじま)などの先島諸島に比べ沖縄本島では岸に近い礁地に生息する個体数が著しく少ないことが報告されています。
「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」は周辺のクマノミ育成と海洋での保全・復元を目的として「瀬良垣島・クマノミ育成プロジェクト」を「OIST海洋気候変動ユニット」の監修を受け開始しました。
今、世界では環境問題が取り沙汰され「SDGs」という言葉がどこでも聞こえてくるようになりました。しかし、「OIST海洋気候変動ユニット」はじめ様々な研究チームによる研究結果や活動はなかなか一般市民まで行き届かないのが現状です。
「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」が取り組む「瀬良垣島・クマノミ育成プロジェクト」は「OIST海洋気候変動ユニット」と一般市民のハブ的な役割を担い、クマノミの個体数減少に歯止めをかける大切なプロジェクトです。
OIST(オイスト)とは沖縄科学技術大学院(英名:Okinawa Institute of Science and Technology)のことです。世界各国から優れた研究者を招き、世界最高水準の研究拠点であり、沖縄の技術移転と産業革新を牽引する知的クラスターの形成を目的とした博士課程を置く大学院大学です。
ティモシー・ラバシ教授が率いる「OIST海洋気候変動ユニット」は「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」の隣にある「OISTマリンサイエンスステーション」で気候変動・熱波・乱獲・都市化等の環境の変化に対して珊瑚礁魚類がどのように適応しているかを解明する研究を行っています。
そして研究対象のクマノミを孵化・飼育・成長させて、「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」周辺の海へと放つ活動を行っています。
「瀬良垣島・クマノミ育成プロジェクト」ではスライドでクマノミの説明を受けます。実に色鮮やかで愛くるしいクマノミはダイビングや水族館では必ず目にするほど人気があります。クマノミの一種であるカクレクマノミは、映画「ファインディング・ニモ」の主人公として登場し大ヒットしたのでご存じの方も多いかもしれません。
世界には28種類のクマノミが確認されていて、そのうち沖縄では6種類のクマノミ(ハマクマノミ・クマノミ・カクレクマノミ・ハナビラクマノミ・トウアカクマノミ・セジロクマノミ)に出会うことができます。
その姿や名前は知っていましたが、説明を受けていく中で独特な生態を持っていることに驚かされました。
クマノミは一度の産卵で500から800匹孵化します。なんと雌雄同体魚(しゆうどうたいぎょ)と言われ、雄でも雌でもない状態で生まれるそう。
そして孵化した後、すぐに自分の住処となるイソギンチャクを探す旅に出て、無事住処を見つけることができたクマノミだけが自然界で生きていけるという過酷な現実が待っています。
幾多の試練を乗り越え成魚となれる生存率はなんと0.000416%です。これは4回の産卵でたった一匹残るか残らないかの確率だそうです。
そんな厳しい生存率に打ち勝ったクマノミは、一夫一妻で繁殖の時期を迎えて家族を形成します。クマノミは大きく成長した雄が、雌へと性転換し繁殖活動を行う雄性先熟性です。大きい方が雌、小さい方が雄だと誰でも簡単に判別できることを知りました。
これは体が大きい方がたくさん卵を作ることができる雄が雌となり繁殖する方が、より多くの子孫を残すことができるように生態が進化したと考えられています。
クマノミの生態について学習した後は、実際に「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」周辺の海へ潜り、クマノミ観察を兼ねたダイビング体験が待っています。知識を得た状態で海の中のクマノミの姿を見ると、より一層愛おしいさが込み上げてくるに違いありません。
今回はダイビング体験を省略し、「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」の隣に建つ研究施設「OISTマリンサイエンスステーション」へ特別に案内していただき、環境問題について学習させていただきました。
第一次産業革命以後、都市化が進み植物が激減し続けています。二酸化炭素が増え温室効果ガスの層が大きくなり、地球は熱の放出ができません。これが地球温暖化と言われる現象です。
さらに地球温暖化は海水温度を上昇させ、海中に二酸化炭素が溶け込むことで海洋酸性化という現象も引き起こします。
珊瑚礁魚類たちは身に危険が生じるとCACという化学物質を出して仲間に危険を知らせます。海中の二酸化炭素濃度が高いとCACに反応することができずに捕食される確率が高くなります。
「OIST海洋気候変動ユニット」によると、孵化した段階から海水温度を上昇させると成長スピードは早いものの骨密度が低く軟弱な個体に成長する可能性が高くなり、個体数の減少に繋がっているそうです。
私たち人間の営みが地球温暖化・海洋酸性化を招き、海中の生き物への様々な悪影響も大きいと考えられます。
「昔の沖縄の海はもっともっと美しかった」
沖縄に住んでいると沖縄のおじぃ・おばぁからそんな言葉をよく耳にします。きっと当時の沖縄の海には、今よりも色鮮やかな珊瑚礁を住処にする魚たちがたくさんいて、現在とは比にならない美しさだったことでしょう。
沖縄の海は、ここ半世紀ほどできっとがらっとその姿形を変えてしまいました。しかし、悲観的になっている場合ではありません。これ以上、沖縄の海の生態系を壊さずに後世へと受け継いでいくためには一人ひとりの地球に優しい取り組みが必要不可欠です。
沖縄に来たら、まずは綺麗な海を楽しんだ後は、ほんの少しだけ沖縄の海で起きていることを考えてみましょう。そのきっかけとして「瀬良垣島・クマノミ育成プロジェクト」に参加してみてはいかがでしょうか。まずは知ることから始まります。ほんの少しの意識の変化が、地球のための大きな一歩になるはずです。
「ククマノミと共に学ぶ瀬良垣の海体験プログラム」
お問い合わせ先/ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄
電話番号/098-960-4321