令和6年度沖縄観光コンテンツ開発支援事業

ユニークな人と文化が集う「コザスタートアップ商店街」でMICEのススメ

2024年1月26日 

ビジネストラベル「MICE」をコザで開催する理由

 

沖縄は、特有の歴史文化を持ち、豊かな観光資源に恵まれていることから、MICE(マイス)開催地としても注目されています。一般的に、ホテルの会議室や観光施設などで開催されることが多いですが、ここで紹介するのは、コザ(沖縄市)の街で行うユニークなMICE。

 

MICEとは、Meeting(企業会議・研修)、Incentive Travel(報奨・研修旅行)、Convention(国際会議・学会)、ExhibitionまたはEvent(展示会・見本市・イベント)の頭文字をとった造語。ビジネスイベントの総称であり、ビジネストラベルのひとつの形態でもあります。

 

では、なぜコザでMICEを行うのでしょうか? 主催者である琉球ミライ株式会社(以下:琉球ミライ)のプログラム・マネージャー矢野千尋さんに聞きました。

 

 

「琉球ミライは、コザの商店街にある『Startup Lab Lagoon』という場に拠点を置いています。1階はイベント会場やコワーキングスペース、2階はシェアオフィスとして、さまざまな人が集える場づくりをしながら、起業家の創業支援や人材育成を行い、新たなイノベーションが起こるためのハブ拠点になることを目指しています。

 

コザは、戦後、米軍基地の門前町として栄えた中心市街地。この地を目指して各地からたくさんの人が集まり、それぞれがアイデアをしぼり、さまざまな挑戦をしてきたと聞きます。私は、コザに住んで18年になりますが、今も県内外各地からユニークな人たちが集まってくるのを体感していますし、“ドラマを求めて訪れる街”というコザならではの魅力は今なお生き続けていると感じます。

 

 

挑戦者を馬鹿にしない、社会的地位がある人も特別扱いをしない、お互いをジャッジしない、その上で、それぞれが出し合ったリソースで何ができるかを一緒に考える。ここには、そんな多様性の居心地よい空気感があるんですよね。でも、これまではしっかり体系ができていなかったので、たくさんの人がコザに来ているものの、あと一歩のところで人とつながれなかったり、アイデアが生まれそうなのに消えてしまったり。なので、道順を踏んでつながりを形にできるよう体系化するために、MICE事業をスタートしました」

 

挑戦する人を支援するコザスタートアップ商店街

 

 

「Startup Lab Lagoon」の前の通りを歩いていると、目に飛び込んで来るのは、「Koza Startup Arcade」(コザスタートアップ商店街)のフラッグ。これは、琉球ミライの代表・野中 光さんと、「Startup Lab Lagoon」を共同運営する株式会社Link and Visibleの代表・豊里健一郎さんが命名したもの。実は、このエリアは一時、シャッター商店街となっていたのですが、近年は、起業支援施設や県外企業のサテライトオフィス、ワーケーション向けのホテル、コーヒー専門店やクラフトビール店など、新しいアイデアの交流の場が誕生。少しずつ活気が戻ってきています。そんな挑戦する人を支援する、商店街一体のオープンイノベーション拠点。これが「コザスタートアップ商店街」の由来です。

 

 

琉球ミライが主催するMICEは、コザスタートアップ商店街にあるさまざまな会場で開催されています。今回は、古民家をリノベーションして生まれたイベントスペース「X-BORDER KOZA」で開催。プログラムは、講師にSAP ジャパン株式会社のシニア・パートナー・ビジネス・マネージャー原 剛さんを迎えた「デザインシンキング講座」。東京のコワーキングスペース「Inspired.Lab」で所長も務めている原さんは、日々、大企業のイノベーションを伴走型で支援したり、全国各地でビジネス系ワークショップを多数実施している方です。

 

 

原さんによると、デザインシンキングとは、現状をより望ましい状態にデザインする手法のこと。まずは真の課題を発見する。その後、解決策を探索し、それらのアイデアやプロトタイプを検証するプロセスを経て、最適な解を見つけ出していく。このアプローチは、ひとりで行うのではなく、多様なバックボーンを持つ人たちが共同で取り組むことが重要だとか。それによって、新しい視点や独自の解決策を生み出すことにつながるのだそうです。

 

内から外から刺激し合い生まれるアイデア

 

この日の講座には、県内外から訪れた7人が参加。働く職場も業種もさまざま、初めて会う人同士も多い中で、一緒にデザインシンキングを行っていきます。その輪の中には、主催者である矢野さんの姿も。

 

 

この日のテーマは、コザの課題とコザスタートアップ商店街の未来を拓くアイデア。Link and Visibleの代表・豊里さんが、コザに生まれ育ったひとりの視点から、現状や問題についてトークした後、参加者の皆さんは、2つのグループに分かれてディスカッション。

 

 

一人ひとりが考えるコザの課題やペルソナなどを付箋に書き出し、ホワイトボードに貼り出しながら、真剣にデザインシンキングを進めていました。

 

 

 

「今回の講座に参加してくださった方も、ふだんから琉球ミライの事業に興味を持ってくださる方も、皆さん自分が体験したことのない新しい何かを求めている人ばかり。誰かが導いてくれるのを待っているのではなく、自分が求めているものをキャッチしに来ている。偶発的に出合うコンテンツを事業のインスピレーションにつなげている方が多いと思います。『ここに来れば何かが起きる』。それが弊社のMICE事業のキャッチコピーなんですが、皆さんもそれを期待して参加してくださったらいいなと思います」

 

 

講座終了後は、場所を「Startup Lab Lagoon」に移してアフターパーティー。MICE向けに用意された地産素材のクオリティの高い食事とドリンクを堪能しながら、懇親を深めます。参加者の方からは、「今までなんとなくしか考えていなかった沖縄の課題の本質について考える機会になり、またその課題の深掘り方法について学べたことが新鮮な経験でした。新たな着眼点を持つきっかけとなった」という感想が寄せられました。

 

 

 

ユニークベニューとしてのコザの街の可能性

 

琉球ミライのMICEコンテンツは、講座だけではありません。コザの街そのものをユニークベニューとして楽しんでいただきたいと、夜の街歩きをするナイトタイムエコノミー体験を用意。米軍基地のゲート2を起点とするコザゲート通りや、ロックの老舗ライブハウス、Aサインバーなどで異国情緒あふれる雰囲気を味わったり、コザスタートアップ商店街の居酒屋をはしごしたり。「コザならではの人、歴史、営みそのものをコンテンツとして楽しんでいただきたい」と、矢野さん。

 

 

「コザの街は、“青い海、青い空”という沖縄のよくあるイメージとは異なるかもしれません。でもきっと皆さん、いつもと違う非日常感を求めて沖縄に来ると思うんです。心の中で自分はこのままでいいのかな? 何か変えたいな、何か起きないかな? そんないろんな思いがあって旅に出る方が多いんじゃないかなと思います。コザは、何かが起こる、何かが変わる街。ビジネスでも観光でも、そう期待を持って、是非たくさんの方にコザへ立ち寄っていただけたら嬉しいです」

 

 

琉球ミライ株式会社

住所/沖縄県沖縄市中央1-7-8 Lagoon Koza内

電話/050-1745-6052(代表)

営業時間/9:00-20:00(Lagoon Koza営業時間)

      12:00~20:00(直通電話受付時間)

定休日/土・日・祝日

HP/https://ryukyumirai.jp/